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【屋外設置】AEDを屋外に設置するには。問題点と設置方法のまとめ。

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ショッピングモールや、駅、最近ではコンビニなど、屋内に設置されたAEDを目にする機会は増えてきたかと思います。しかし、あまり屋外に設置されているAEDを見かけることは少ないのではないでしょうか?

AEDを屋外に設置することで、誰でも、いつでもAEDが使用することが可能になります。ただし、屋外に設置するためには、いくつか解決しなければならない問題点があります。

屋外設置の問題点とその解決方法をまとめています。

当記事では、屋外に設置する際の問題点を主にまとめています。「収納ボックスに入れれば、外に置いても大丈夫だろう!」という方が多いので、AEDを屋外に置こうと思っている方や、設置場所に悩まれている方に確認していただけたらと思います。

屋外に設置する際に、気になるであろう盗難や保証などついてもまとめてみました。

1. 屋外設置のメリット

屋外で遊ぶこども達

屋外設置のメリットは、AEDの設置場所をある程度自由に選択できる点です。近隣の方も使えるように歩道に面した店舗前に置いたり、会社や学校など夜間に鍵が閉まっても、屋外に設置すればいつでも使えるようになります。

コスト的な面でも、たとえばお客様が来られる受付と、スタッフがいる事務室、さらに中庭を挟んだ工場にも置きたい場合、計3台が理想ですが、1台20万~30万円するAEDを何台も買える企業は多くありません。もし、中間地点にある中庭に1台設置できれば、3箇所を1台でカバーすることも可能です。

屋外設置の例で分かりやすいのが学校です。保健室以外にAEDを常設したい場所といえば、心停止の危険性が高いスポーツの現場になりますので、体育館やグラウンドが設置の候補になります。

大抵は体育館内か、体育教員がいる室内に置くことが多いですが、もし屋外に設置できるとしたら、体育館の外の壁に取り付け、グラウンドからも取りに行きやすくなりますし、体育館が閉まっている休日や夜間でも屋外なら取りに行ける点もメリットです。

また、入り口や玄関の前に設置して、前の通りを歩く人や、近所のもしものために備えておきたいと考える企業も多く、屋外にAEDを置くことによって、地域貢献できる点もメリットだといえます。

屋外に設置した事例をいくつかご紹介します。

  • 体育館の外の壁に設置して、体育館とグラウンドをカバーされた小学校(保健室にも1台)
  • 会社の前に設置して、地域貢献をPRされた企業
  • 公民館の前に設置して、閉館時間も町民に対応できるようにした自治会
  • 24時間対応が条件の補助金を利用するために、門の前に設置した企業。

屋外に設置することで補助金が下りる?

24時間だれでも使えることを条件に、AEDの補助金が下りる自治体もあります。

※AEDを屋外に設置し、温度管理等ができる屋外型AED収納ボックス等を使用すること(ただし、24時間営業施設は、だれでもすぐ使える状態なら屋内設置可)

東京都大田区 24時間AED設置補助事業についてより引用

2. 屋外設置の問題点

基本的にAEDをそのまま屋外に設置することはできません。屋内とは違い、屋外にAEDを設置する場合は、解決しなければいけない色々な課題があります。

2-1. 温度

屋外に設置する場合、一番問題になるのが温度です。

屋外に設置する場合、一番問題になるのが温度です。AEDは保管・使用環境の条件に温度の指定があり、そのほとんどが0度~50度(AED-3100は-5度~50度)以内です。

これは、正常にAEDが作動するための条件であり、本体の保証にも関わってきます。もし、0度~50度の範囲外になってしまった場合には、故障してイザというときに使えなくなってしまう可能性があります。また、メーカー保証の対象外になりますので、修理が有償扱いになってしまいます。

屋外に設置した場合、夏場は50度を超えてしまうおそれがあり、冬場は寒さで0度を下回ってしまう地域は多いと思います。「AEDを収納ボックスに入れるので外に置いても大丈夫ですよね?」と聞かれることがよくありますが、現在、販売されている収納ボックスの大半が屋内用のボックスです。

屋内用は、屋外に置くことを想定していないため、保温や温度調整の効果はほとんどありません。そのため、屋内ボックスに入れて屋外に設置した場合は、故障するおそれが出てきます。いざ使おうとしたときに使えない可能性がありますので、ご注意いただきたいと思います。

では、どうですればよいのでしょうか? 3. 屋外設置の方法に後述しますが、外に設置する場合は、屋外専用の収納ボックスに入れる必要があります。これらは、ヒーターなどの温度調節機能が付いており、中の温度を一定に保つことに加えて、ケースが二重構造になっており、AED収納部分まで温度が伝わりづらくなる特殊な構造になっています。

なぜ、AEDには温度の指定があるの?

一般的な精密機械と同じで、本体に異常が出る可能性はもちろん、電極パッドやバッテリーなどの付属品も高温でパッドの表面のジェルが溶けてしまったり、凍って動かない・貼れなくなるなど可能性があるためです。取扱い説明書には、AEDの設置・使用環境が必ず記載されていますので、守るようにしましょう。

2-2. 天候(直射日光や雨)

雨や落雷にも注意が必要

室内に設置する場合でも気をつけるべき点ですが、AEDは直射日光の当たらない場所に保管しなければいけません。付属品である電極パッドやバッテリーも同様で、直射日光の強いところでは、バッテリーが液漏れになったり、性能や寿命を低下させる原因になります。

屋外設置の場合、雨や落雷にも注意が必要です。メーカーの取扱説明書には、「水のかからない場所に保管すること」などの注意事項や、保証の項目には、「機器の内部に砂や土が入ったことに起因する故障や損傷」、「落雷そのほかの天災地変」は保証対象外である旨が記載されています。

雨や落雷については、故障のほかに、感電や火災のおそれもあります。そのため、AED本体そのままを屋外に設置する行為はやめましょう。

ボックス内の温度が上昇する理由は直射日光

夏場、温度が上昇する理由は外気温が高くなるせいと思いがちですが、実際は直射日光によりボックス内部の板金が温まって、AEDを収納しているスペースの温度が上昇してしまうことがわかっています。

これは、恒温槽と呼ばれる環境テスト、日射量を当てる検査結果によるもので、この対策として、二重構造の屋外収納ボックスができました。直射日光が当たる外側の部分と、AEDを収納する内側部分を作ることで、外側が発熱した場合に熱を逃がす構造になっています。

参考:飯田電子設計株式会社

2-3. 盗難

盗難

屋外に置く場合に、気になるのは盗難です。屋内用・屋外用の収納ボックス共に、扉を開けると大きなブザー音が出るようになっているものがほとんどですので、ボックスに入れてあれば、ある程度の盗難対策はできます。

ただし、AEDの収納ボックスは誰でも使えるように基本的に鍵を掛けることはありません。単純に外に置くということは、屋内に比べて盗難にあう可能性は高くなります。

しかし、2014年7月にYahooオークションでAEDの出品が禁止になった(※)のを皮切りに、オークションサイトなどで中古のAEDが出回ることがほとんどなくなりました。そのため、盗んでも販売する方法が少なく、かつ、AEDは販売するのに資格が必要な医療機器になるため、無許可で販売すること自体が重い罪になります。

そのため、窃盗犯がAEDを盗むといった話も聞いたことがありませんし、2018年現在、累計6000台以上の販売を行っておりますが、弊社顧客には盗まれた方はいません。

参考:ヤフオク!AED(自動体外式除細動器)の出品について

それでも盗まれるのが心配な場合は?

万が一、盗まれた場合にAEDの代金を補償してくれる動産保険があります。(盗難以外に落雷や車の飛び込みなども適用対象になっていることがあります。)

こちらは保険会社によって屋外は対象外であったり、外であっても敷地内であることや防犯カメラがあることが条件など、保険会社によって内容や条件が違いますので、確認されることをおすすめします。

2-4. 自販機への設置

自動販売機にAED設置

こちらは問題点ではありませんが、ジュースなどの自動販売機の中にAEDを設置しておけるものがあります。

私は室内設置されたAED付き自販機しか見たことがないので、屋外設置できるかわかりませんが、自販機には温度調節の機能がついていますので、機能的には可能だと思われます。もし、AED付き自販機を検討される場合には、AEDを収納する部分に温度の調節機能やブザーがついてるかを確認されるのがよいと思います。

また、医薬品医療機器等法(旧薬事法)上、AEDは高度管理医療機器の販売及び貸与業という資格を、営業所単位で取得していないと販売・貸与ができません。無資格者によるAEDと自販機の抱き合わせ行為は違法となりますので、資格の有無についても自販機業者に確認してください。(資格が必要なのは、販売以外に賃貸・授与・寄贈なども含まれます)

2-5. 屋外用収納ボックスの費用

本記事の3. 屋外設置の方法で詳しく説明しますが、屋外にAEDを設置する場合は、専用の屋外用収納ボックスが必要になります。

屋外用収納ボックスの価格は、壁に掛けるタイプの収納ボックスで10万円ほど、スタンドタイプのボックスで20万円ほどします。屋内用収納ボックスが3万円程度なことを考えるとかなり高価な点がネックです。

高額な理由は、屋内用の収納ボックスと違い、AEDを入れるボックス内の温度を一定に保つためにヒーターやファンが内蔵されていることや、屋外環境に耐えうるのために高価な素材を使用していたり、屋外設置を検討している方にしか需要が無いため、あまり多くを製造しないことが理由かと思います。

3. 屋外設置の方法

屋外用AED衆望ボックスの設置方法

温度管理ができ、雨風からAEDを守ってくれる屋外用収容ボックスの設置方法についてです。

設置の方法は、屋外用ボックスの種類やメーカーにもよりますが、壁掛けタイプ、スタンドタイプ共にアンカーボルトで固定する必要があります。

ヒーターやファンを回すために電源(コンセント)が必要になタイプのボックスは、室内から電源を引く必要が出てくる場合やコンセントが遠い場合には電気工事が必要になるケースがあります。その為、屋外用収納ボックスの購入費用の他に、工事費用が掛かる可能性があります。

最近では、電源不要の屋外収納ボックスも、製造販売されています。詳しくは、国内最高気温でテスト済。寒さにも暑さにも強い電源不要の屋外型AED収納ボックスの特長4選で紹介していますので、気になる方は、あわせてお読みいただけたらと思います。

弊社では、屋外用の収納ボックスも取り扱いがございます。価格や詳細資料をご希望の場合には、下記よりお気軽にお問い合わせください。

お見積もりや資料請求はこちらから

まとめ

AEDを屋外に設置したい場合の問題点やメリット、設置方法や価格をまとめました。AEDを導入される際に設置場所で悩まれる方も多いですから、参考にしていただけると幸いです。

屋外収納ボックスは安い買い物ではないですが、施設外や会社の前で倒れた人など、目の前で起きた命を救うことができるかもしれません。設置場所の自由度が上がりますので、コスト的にもAEDを複数買わなくてもよくなるなど、メリットが多いため、施設が広い企業や、学校、自治会などでAEDを導入される方は、ご検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献

  • 日本光電工業株式会社 AED-3100 取扱説明書 初版 2015.7NIK
  • オムロンヘルスケア株式会社 HDF-3500 取扱説明書 HDF-3500_A_M11_151027.PDF
  • 株式会社CU CU-SP1 取扱い説明書 第2版 SP1-OPM-K-03
  • 飯田電子設計株式会社屋外型AED収納ボックス開発・製造業者

この記事を書いた人

清水 岳

清水 岳

株式会社クオリティー AED事業部 部長 : AEDコム・AEDガイド責任者、AED+心肺蘇生法指導者、高度管理医療機器販売・貸与管理者、防災士、上級救命講習修了。 専門店AEDコムを運営し、日本全国に年間2,000台を販売、導入企業数は14,000社を突破。心肺蘇生ガイドライン、AEDの機器に精通している。

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