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【喘息】もしも発作が起こったら?気管支喘息の症状と応急手当。

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厚生労働省によると約2人に1人は、何かしらのアレルギー疾患を持っているそうです。アレルギー疾患として、日常的によく耳にするのは、花粉症、アトピー、食物アレルギー、リウマチ、喘息などがあります。

その中でも、今回は、呼吸困難を引き起こし、喘息死という言葉もある「気管支喘息」のファーストエイドについてまとめました。

ファーストエイドとは、怪我や病気をした人を助ける最初の行動を意味します。言葉としては、応急処置や応急手当がなじみがあるかと思います。

1. 喘息の症状は?

気管支ぜん息は、主に気道が炎症を起こすことで、咳(咳嗽がいそう)と「ゼーゼー」、「ヒューヒュー」といった喘鳴ぜんめいに加え、呼吸困難を繰り返す疾患です。

空気の通り道である気管支が狭くなることで、十分に呼吸ができなくなり、酷い場合には、命に関わるため、素早い対応が必要です。もし、喘息発作がひどいと思ったら、すぐに119番通報をしましょう。

2. 喘息のファーストエイド

喘息の症状や発作を確認できた場合、どんな対応をすればいいのでしょうか。映画やドラマで見かけたこともあるかもしれませんが、吸入薬を使います。

吸入薬を吸っている人

この吸入薬は、気管支拡張薬きかんしかくちょうやくと呼ばれ、通常は傷病者が自分自身で使用します。

ただし、発作がひどい場合、呼吸が苦しくて自分で取り出せない、使用できないなどがありますので、傷病者の求めに応じて、吸入薬を口元に運び、吸えるように手助けしましょう。

3. 吸入薬の使用を補助する際の注意点

吸入薬(気管支拡張薬)

吸入薬は、正しく使用しないと効果が期待できないだけでなく、過度に投与すると副作用も起こりえます。

喘息の持病をお持ちの家族や、接する機会が多いと感じる人は、適切な使用法や副作用について理解を深めておくのがいいと思います。

4. ガイドラインから見る喘息のファーストエイド

G2015 喘息のファーストエイド

最後に、JRC蘇生ガイドライン2015にある、呼吸困難に伴う喘息に対する気管支拡張薬の使用についてです。ここでは、臨床疑問(CQ)に対して「PICO」とよばれる問題を定式化(型にはめる、パターン化)して、状況を整理する方法を用いています。

簡単にいうと、PICOは、疑問に対して「誰に(P)、どんなことをすると(I)、何と比較して(C)、結果(O)がどうなるか?」を示すものです。

気管支喘息のファーストエイドについて、ガイドライン2015では以下の通りです。

CQ:喘息で呼吸困難のある者に対して気管支拡張薬を使用すべきか?

P:病院前において呼吸困難のある喘息の成人と小児
I:気管支拡張薬の使用
C:気管支拡張薬の非使用
O:症状寛解までの時間、日常生活に復帰するまでの時間、合併症、患者への有害事象、治療のエンドポイント(例えば、酸素化と換気)、さらなる医療対応の必要性

※「JRC蘇生ガイドライン2015 第7章 2病気に対するファーストエイド 4呼吸苦を伴う喘息に対する気管支拡張役の使用」より引用

ILCOR(国際蘇生連絡協議会)と、JRC(日本蘇生協議会)の見解が以下です。

ILCORの推奨と提案

ILCORは、訓練を受けたファーストエイドプロバイダーが、喘息の呼吸困難に対して、気管支拡張薬の使用を補助することを提案する(弱い推奨、非常に低いエビデンス)

JRCの推奨と提案

わが国において、医療従事者でない者が、傷病者に気管支拡張薬を使用することには法的な課題がある。ただし、傷病者に、喘息発作時のかかりつけ医の指示について確認したり、傷病者がかかりつけ医の指示に基づいて傷病者に処方されている気管支拡張薬を使用することを補助することは可能である。

※「JRC蘇生ガイドライン2015 第7章 2病気に対するファーストエイド 4呼吸苦を伴う喘息に対する気管支拡張役の使用」より引用

まとめ

今回は、気管支ぜん息について、まとめました。ガイドライン2015を読み解く限り、吸入薬の手助けなどの「処置」よりも、吸入薬を使用するための「補助」がメインになります。

そのため、発作が酷いと感じた場合には、まずは119番通報、そして薬があれば手助けをし、心停止してしまった場合には、心肺蘇生を行いましょう。

喘息以外のファーストエイドで、止血や低血糖、回復体位、熱傷など、そしてPICOについても書いていますので、「ファーストエイド入門。応急手当との違いや、ガイドラインの読み解き方。 」の記事もぜひご覧ください。

参考文献

  • 「JRC蘇生ガイドライン2015」監修:一般社団法人日本蘇生協議会・発行:株式会社医学書院(2016年2月15日発行第1版第1刷)
  • 「JRC蘇生ガイドライン2015」監修:一般社団法人日本蘇生協議会・オンライン版「第7章ファーストエイド」 https://www.japanresuscitationcouncil.org/wp-content/uploads/2016/04/046cde60f41eae569a6aac3edb80584b.pdf(引用元サイトが移転したため、当記事を作成した2019年当時の引用・参考元URLを記載致します)
  • 「救急蘇生法の指針2015(市民用・解説編)」株式会社 へるす出版(2016年3月31日)
  • 「アレルギー疾患の現状等」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000111693.pdf
    厚生労働省健康局がん・疾病対策課(平成28年2月3日)
  • 「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/hoiku03_001.pdf
    厚生労働省(平成23年3月)
  • 「喘息死ゼロ作戦の実行に関する指針」https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/dl/jititai05.pdf
    厚生労働省喘息死ゼロ作戦評価委員会

注意事項

本コンテンツの掲載情報は、医師の診断に代わるものではありません。症状や治療に関しては、必ず主治医の診断を受けてください。

この記事を書いた人

清水 岳

清水 岳

株式会社クオリティー AED事業部 部長 : AEDコム・AEDガイド責任者、AED+心肺蘇生法指導者、高度管理医療機器販売・貸与管理者、防災士、上級救命講習修了。 専門店AEDコムを運営し、日本全国に年間2,000台を販売、導入企業数は11,000社を突破。心肺蘇生ガイドライン、AEDの機器に精通している。

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