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AEDの備品・消耗品。代表的な9種類の価格、必要性等

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AEDには備品がありますが、どれが必要かいまいちピンと来ないことはないでしょうか。また、「これがあった方がいい!」と思う備品があっても、価格や機能・必要性がよく分からず購入をためらうこともあるかと思います。

当記事では、代表的なAEDの備品について、どんなものがあるかという種類と、価格の相場、機能、必要性についてまとめました。備品購入の正しい選択にご活用いただけたらと思います。

1.AEDの消耗品・備品とは

AEDには、期限がきたら交換しなくてはいけない物品があります。当記事では、そういった交換が必要な備品を「消耗品」とよびます。また購入は必須ではないですが、任意で購入すると役に立つ物品を「備品」とよびます。

消耗品は、「電極パッド」と「バッテリー」です。電極パッドは小学生〜大人用電極パッドと未就学児電極パッド、両用電極パッドがあります。小学生〜大人用電極パッド、未就学児用電極パッドは、成人、小児に対して電極パッドを変えて使うモデルのAEDの消耗品です。両用電極パッドは、小学生〜大人・未就学児用切り替えスイッチ機能付のAEDの消耗品です。成人にも小児にも両方に使うことができます。

小学生〜大人用電極パッド、両用電極パッドは、2年ほどの期限のものが多く、未就学児用電極パッドは、1年半程のものが多いです。バッテリーは4年程の期間のものがオーソドックスです。小容量で価格も抑えた2年のモデルを販売しているメーカーもあります。

人気の備品としては、「収納ケース」があります。収納ケースに入れると目立ちますし、ケースの扉を開けると大きな音がなるので、防犯対策や緊急時に人を集めることに役立ちます。他の備品としては、AEDの設置を知らせるステッカーや、救命活動をする際にあると望ましいレスキューセット、AEDの使い方の訓練をするために使用するAEDの訓練機や人体模型等があります。次の章で詳しくみていきます。

金額の記載は税別表記です。

2.代表的な消耗品・備品一覧

AEDの消耗品・備品について、相場や機能、必要性などの情報をみていきます。

2-1.電極パッド

小学生〜大人用電極パッド・両用電極パッド

7000円~10000円程が相場です。使用期限は2年程が一般的です。交換時期がきた時の買い替え分の電極パッドを初回購入時に買っておきたい、という方がいらっしゃいますが、電極パッドの期限はメーカー出荷時より○○ヶ月という形なので、最初に買う電極パッドはいくつ買っても同じ時期に交換期限が来てしまいます。期限が来た後の交換用の目的で電極パッドを買っても仕方が無いので、その点はご注意ください。

なお、AEDに付属している電極パッド1枚に加え、予備用の電極パッドを購入されるケースは少なくはありません。AEDを使用した場合、電極パッドは使い捨てです。1枚しかない場合は使用可能な電極パッドが手元にない状態となります。この時追加で購入することになりますが、電極パッドが届くまで数日空いてしまうため、その間に傷病者が発生した場合対応ができません。その期間に備える意味ではもう一枚電極パッドを買っておくと安心です。

またあまり無いことかとは思いますが、AED使用中に電極パッドのジェル部を地面につけてしまったり、間違ったところに貼ってはがしたら粘着性が落ちてうまく貼れなくなってしまうことが無いとはいえません。予備のパッドがあればそういう時に替えとして使用できるので、安全策としてもう1枚用意されてもよいかもしれません。

電極パッドの写真

未就学児用電極パッド

未就学児とは、小学校入学前の未就学児を指します。小学生〜大人と同じ電気ショックを未就学児に与えてしまうと身体へのダメージが大きすぎる可能性があるので、エネルギーを抑えられるようしてあります。小学生〜大人用が150J程に対して未就学児用は50J程の設定となっていることが多いです。電極パッドのサイズも小さめに作ってあります。体に貼ったときに電極パッドが触れあわないようするためです。

新しいAEDは小学生〜大人・未就学児用の切り替えスイッチがついていて同じ電極パッドで小学生〜大人にも未就学児にも対応できるモデルが増えてきているので、そもそも未就学児用電極パッドが無いモデルもあります。

除細動パッドパック

この他に、除細動パッドパックという、電極パッドとバッテリーが一体型になっているものもあります。オムロンヘルスケアから販売されているHDF-3500などがそうです。値段は除細動パッドパックが30000円(税別)で、未就学児専用除細動パッドパックが36000円(税別)です。値段だけ聞くと高く感じますが、電極パッドとバッテリーが一体型ですのでひとつの購入で双方揃います。

除細動パッドパックの写真

2-2.バッテリー

待機寿命が4年のもので3万円~4万円、5年のもので4万円程が相場です。大容量のリチウム電池であることが殆どで、電気ショックで言えば装着時には200回程の電気ショックが可能な容量であることが多いです。500mlのペットボトルくらいのサイズのものが多いです。

これらに加えて、2年間の期限のバッテリーを用意しているメーカーもあります。通常のバッテリーが4年間の待機寿命だと、保証期間の5年間まであと1年あります。保証期間中AEDを使用するためにバッテリーを買い換えることになりますが、あと1年のために4年持つバッテリーを買い換えるのも微妙なので、そういう時の買い替え用に、待機寿命2年程のバッテリーを用意しています。待機寿命2年程のものは2万円程度の価格です。

古いAEDでは、バッテリー1つ8万円とか、もっとするものもあったようです。バッテリーの価格はかなり下がってきているといえます。


CU-SP1のバッテリーの写真

2-3.自立式収納ケース

駅等でよくみかけるボックスです。地面に置かれる形で設置される、1m程の高さの収納ボックスです。このタイプには価格に幅があり、10万円程のものから20万円程のものまであります。子供の身長くらいの大きな金属の塊なので、材質や生産地により値段に開きがでるのだと思います。

アンカーをうちつけないといけないタイプもあるようですが、底の部分が重く設計されておりそのまま置くだけのタイプが多いようです。

AEDを収納するスペースの下側にも収納スペースがあります。企業で設置する場合には防災備蓄品や消火器などを入れておくケースもあるようです。扉を開くと音がなるように設計されています。音を鳴らす部分は電池式であるケースがほとんどなので、電池がなくなったときには電池交換して下さい。

自立式ボックスの写真

2-4.壁掛け式収納ケース

これも駅で見かけることがあるかと思います。ビスやアンカーなどで壁に設置するタイプです。このタイプは、4万円程のものから7万円程のものまであります。

自立式ボックスと比べて下側の収納スペースはなくなりますが、価格を抑えることができます。壁にあるでっぱり部分の上の位置など、自立型が設置できない場所にも設置できます。

ただし壁にビスなどで固定するために穴を開ける必要があるので、壁に穴を開けてはいけない場合には設置できませんし、壁の材質によっては設置できないかもしれません。こちらも扉を開くと音がなるように設計されています。

壁掛け式ボックスの写真

2-5.壁掛けホルダ

これはあまり見かけないかもしれませんが、収納ケースよりもお手軽にAEDを設置するためのホルダーも販売されています。価格は2万円程が相場です。

収納ケースの場合はAEDがケースの中に完全に入った形となりますが、ホルダーの場合はAEDが外気に触れる状態となります。扉も無いので、AEDを取り出したら音がする、ということはありません。

このホルダーがあると、AED置き場をつくることができるので、置き場が変わってAEDがどこにあるか分からなくなる、ということがなくなると思います。またある程度目立ちますし、スタイリッシュに設置できるイメージがあります。

壁掛けホルダーの写真

2-6.レスキューセット

AEDを使用するときに使う小道具を集めたセットです。3000円~4000円が相場です。

衣服を裁断用のハサミ、マウスピース、手袋、カミソリ、吸水用使い捨て不織布等が基本的な内容物です。このレスキューセットは、AED本体に付属して販売しているケースとそうでないケースがあります。AEDを使用する際に非常に役に立つセットですので、検討中のAEDに付属していない場合は、一緒に導入されるのが良いと思います。

レスキューセットの写真

2-7.ステッカー・マグネット

ステッカーは玄関のドアなどに貼り、AEDが設置してあることを示すのに役立ちます。サイズやデザインによって価格は様々ですが、A4の半分くらいのサイズのもので、1枚1000円ほどが相場です。5枚セットで3000円とか、セットで安くして販売しているものもあるようです。

高価格帯だと、A4サイズで3000円程のものもあります。高価格帯のものは、受注生産のため既製品と比較して価格が高く設定されているようです。受注生産のため、納期が2週間程かかることもあるようです。

マグネットはあまり出回っていませんが、3000円~4000円程で販売されています。こちらも受注生産が多いようです。

マグネットが必要となるケースは通常の設置ではさほどないかもしれませんが、車両にAEDを搭載する場合にはマグネットが活用されています。車両に搭載した場合、AED搭載車両というマグネットを貼ることがあるようです。その他AEDの場所が移動する場合は、ステッカーを貼ってしまうと移動した後に再度貼れないので、マグネットを検討されてもよいかもしれません。

ネットで検索していると、「AED搭載船」というマグネットが貼られた船の写真がでてきました。AED設置において、オリジナリティーや遊び心を出せるところかもしれません。

2-8.AEDトレーナー(訓練機)

AEDトレーナーは、AEDの講習等で使う、AEDの使い方を知るための機器で、10万円程が相場です。

見た目はAED本体とそっくりですが、心電図の解析や電気ショックができません。そのかわり、電気ショックを行う流れを再現できます。

なぜAEDトレーナーが必要かというと、本物のAEDの場合は、心停止になった人がいない限りは電気ショックを行う流れを見ることができないからです。正常な心電図の人に電極パッドを貼っても、「電気ショックは必要ありません」というアナウンスが流れるだけで、電気ショックを行う流れに進みませんし、人体模型に電極パッドを貼っても通電しないのでパッドが貼られたと判断されず、「電極パッドを貼ってください」とのアナウンスを繰り返すだけで、その先に進みません。

そこで、AEDトレーナーを使用して電気ショックを行う流れを確認します。講習で使われるのはAEDトレーナーなので、消防署などでAEDの講習を受けたことがある人は、このAEDトレーナーを使ってAEDの使い方を学習したと思います。

AEDの使い方の訓練を定期的にしたい、という場合は、AEDトレーナーの購入を検討してもよいかもしれません。

AEDトレーナー(訓練機)の写真

2-9.人体模型

救命講習用の人体模型も様々なタイプがありますが、AEDの講習に使うのは上半身だけのモデルが一般的です。上半身だけの人体模型は、3万円~5万円程が相場です。

5万円程のものになると、胸骨圧迫をするときの堅さが人体に近くなるよう製作されていたり、胸骨圧迫するリズムや深さが正しいかどうかをライトの点滅で教えてくれる機能がついていたりします。3万円弱のものも訓練には支障は無いかと思いますが、胸骨圧迫をする時の堅さが人体と比べ柔らかく圧迫が簡単だったりします。また胸骨圧迫のリズムや深さが正しいかどうかフィードバックする機能がついていないので、正しくできているかどうかは使用者が判断する必要があります。プロに教えてもらうときには問題無いと思いますが、自分たちで定期的に訓練する場合は、胸骨圧迫のリズムや深さをフィードバックしてくれるモデルを選ばれるのが良いかと思います。

全身の人体模型の場合は、生産量が少ないためか、30万円程してしまうようです。また救急救命士の訓練用に使ったりする高機能なものでは100万円程のものもあります。

人体模型の写真

まとめ

AEDの備品について一通りまとめてきました。備品・消耗品の必要性や、相場についてご理解いただけたと思います。

AEDは購入した段階でそのまま使用可能な1セットになっているので備品を購入しなくても使用することができます。ただ設置した効果を最大限に生かそうと思ったときに備品が生きてくることもあるかと思います。

当記事を読んで、「あった方がいいな」、という備品があれば購入してよりAEDが生きるようして欲しいですし、「無くてよかった」という備品があったら、次回購入時に除外してコストを削減していただけたらと思います。

この記事を書いた人

清水 岳

清水 岳

株式会社クオリティー AED事業部 部長 : AEDコム・AEDガイド責任者、AED+心肺蘇生法指導者、高度管理医療機器販売・貸与管理者、防災士、上級救命講習修了。 専門店AEDコムを運営し、日本全国に年間2,000台を販売、導入企業数は14,000社を突破。心肺蘇生ガイドライン、AEDの機器に精通している。

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