担架は本当に必要?用途・種類・選び方から簡易担架の作り方まで解説
担架は、事故や災害が起こった時に使用する搬送の道具です。しかし、日常的に使う機会が少ないため、「本当に必要なのだろうか」と感じる方もいるかもしれません。
導入の優先順位が後回しになりがちな一方で、万が一の際には傷病者を搬送するために役立ちます。特に、多くの人が利用する施設や、事故が発生する可能性のある現場では、いざというときの備えとして検討しておきたい備品の一つです。
この記事では、担架の必要性や使用シーン、種類ごとの特徴、選び方に加え、担架がない場合の応急対応についても分かりやすく解説します。
1. 担架とは?なぜ必要なのか

傷病者を搬送する際は、現場に差し迫った危険がない場合は、無理に動かさず、その場で応急手当を行い、救急車を待つことが基本です。しかし、火災や倒壊など現場に危険がある場合や、安全な場所へ避難させる必要がある場合には、速やかに移動しなければならないことがあります。
担架は、傷病者を搬送するための器具です。防災訓練や救急活動の場面で目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
搬送が必要な状況で無理に抱えたり引きずったりすると、傷病者の身体に負担がかかり、症状を悪化させるおそれがあります。特に、頭部や脊椎の損傷が疑われる場合は、搬送時の揺れや姿勢の変化によって状態が悪化する可能性もあります。
担架を使用することで、傷病者の身体を安定した状態で支えながら搬送しやすくなり、身体への負担や搬送時のリスクの軽減につながります。
2. 担架に設置義務はある?
「担架は法律で設置しなければならないのだろうか」と疑問に思う方もいるかもしれません。
結論からいうと、一般的な事業所や施設に対して、担架そのものの設置を一律に義務付ける規定はありません。
ただし、事業者には、職場で負傷者が発生した場合に必要となる救急用具や材料を備え、その設置場所や使用方法を労働者に周知することが労働安全衛生規則で求められています。
現在は、すべての事業所が担架を備えなければならないという具体的な品目指定はありませんが、業務内容や事故のリスク、施設の規模、救急車が到着するまでの時間などを踏まえ、必要性を判断することが大切です。
3. 担架はどんな場面で使う?主な使用シーン

担架は救急現場だけでなく、さまざまな施設や現場で使用されています。救急隊による傷病者の搬送はもちろん、学校や工場、スポーツ施設、商業施設などでも、けがや急病が発生した際の搬送手段として活用されています。このような施設では、担架を備えておくことも選択肢の一つです。
担架の使用が想定される場所
- スポーツ大会:競技中の負傷者の搬送
- 学校・スポーツ施設:運動中のけがや熱中症、体調不良時の搬送
- 工場・建設現場:転倒や落下事故時の搬送
- 商業施設:来場者の体調不良や事故対応
- イベント会場:来場者の体調不良や事故時の搬送
また、地震や火災などの災害時には、救急車の到着が遅れる場合や、その場から速やかに避難させる必要が生じる場合があります。こうした緊急時に備えるためにも、担架を備えることも、対策の一つです。
4. 担架の種類と特徴
担架にはさまざまな種類がありますが、代表的なのは「フレーム担架」と「布担架」です。それぞれに異なる特徴があり、搬送する環境や用途によって適したタイプが異なります。
4-1. フレーム担架(折りたたみ式)

金属フレームとシートで構成された一般的な担架で、安定性が高く、さまざまな場面で使用されています。身体をしっかりと支えられるため、搬送中の揺れや姿勢の崩れを抑えやすくなります。
「常設用・安全性重視」する場合はおすすめです。フレーム担架の中でも、折りたたみ式のタイプは保管性に優れており、工場、学校、商業施設などさまざまな現場で使用しやすい担架です。
4-2. 布担架(簡易担架)

布やシート素材で作られた軽量タイプの担架で、持ち運びやすく、コンパクトに折りたたんで省スペースで保管できるのが特徴です。
狭い通路や階段でも柔軟に形を変えながら搬送できるため、集合住宅や保管スペースが限られた施設などでも取り回しやすいです。一方で、フレームがないため安定性はフレーム型に比べて弱く、搬送時には複数人で慎重に扱う必要があります。
5. 用途に応じた担架の選び方
担架を導入する際は、設置場所や搬送経路、保管スペースに合わせて選ぶことが大切です。ここでは、常設用として導入されることの多いフレーム担架(折りたたみ式)の中から、AEDコムで取り扱っている代表的な製品を例に、それぞれの特徴をご紹介します。
5-1. 4つ折り担架
バランスの取れたサイズ感で、安定性と収納性を両立した担架です。施設内で常設用として備えておくことを検討しやすい担架です。
- 安定性が高く扱いやすい
- 比較的コンパクトに収納可能
- 工場・施設・学校などにおすすめ
AEDコムオフィシャルストア取扱いの4つ折り担架

製品仕様
- 展開時サイズ:幅55×長さ208×高さ13cm
- マットサイズ:幅53×長さ176.5cm
- 重量:4.7kg
- 材質:フレーム:アルミ / マット:ターポリン
- 付属品:安全ベルト2本 / 収納ケース1個(収納ケースサイズ:幅11×長さ110×高さ18cm)
- 耐荷重:200kg
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5-2. 8つ折り担架
よりコンパクトに収納できるタイプで、保管場所や携帯性に優れています。保管スペースが限られている施設や、防災備蓄としてコンパクトさを重視したい場合に適しています。
AED収納ボックス(sanwa スタンドタイプ屋内用 108-332)にも収納できるサイズのため、AEDとあわせて備蓄したい施設にも適しています。
- 非常にコンパクトに収納可能
- 持ち運びやすい
- 防災備蓄・非常用として適しています
AEDコムオフィシャルストア取扱いの8つ折り担架

製品仕様
- 展開時サイズ:幅48×長さ214×高さ12cm
- マットサイズ:幅53×長さ176.5cm
- 重量:4.5kg
- 材質:フレーム:アルミ / マット:ターポリン
- 付属品:安全ベルト2本 / 収納ケース1個(収納ケースサイズ:幅13×長さ64×高さ24.5cm)
- 耐荷重:200kg
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6. 担架はどこに設置するべき?

担架は、事故や災害、傷病者が発生した際に迅速に持ち出せる場所へ設置することが重要です。どれだけ高性能な担架を備えていても、必要なときにすぐ使用できなければ十分な効果を発揮できません。
また、担架は日常的に使用する機会が少ないため、保管場所が分かりにくかったり、物置の奥に収納されたりしてしまうケースもあります。緊急時に迷わず持ち出せるよう、設置場所をあらかじめ決めて関係者へ周知しておくことが大切です。
6-1. すぐに持ち出せる場所に設置する
担架は、受付や事務所、防災倉庫など、緊急時にすぐ持ち出せる場所への設置がおすすめです。
特に、施設の管理者や従業員が日常的に出入りする場所に設置しておくことで、必要な際に素早く対応しやすくなります。一方で、施錠された部屋や関係者しか立ち入れない場所に保管すると、搬送が必要な場面で持ち出しが遅れる可能性があります。
6-2. 人が多く集まる場所の近くに設置する
学校の体育館やグラウンド、スポーツ施設、工場、商業施設など、人が多く集まる場所では、けがや体調不良が発生する可能性があります。
そのため、傷病者が発生する可能性が高い場所の近くに設置しておくことが望ましいです。例えば、学校であれば保健室や体育館付近、スポーツ施設であればトレーニングエリアや競技スペースの近くなどが設置場所として考えられます。
施設が広い場合は、一か所に集約するのではなく、複数か所への配置を検討するのも一つの方法です。
6-3. AEDや救急用品の近くに設置する
担架をAEDや救急箱などの緊急時に使用する備品の近くへ設置することも、一つの方法です。緊急時に必要な備品の保管場所をまとめておくことで、担架が必要になったときも、迅速に対応がしやすくなります。
また、保管場所とあわせて管理することで、点検や備品管理もしやすくなります。施設内で救命・防災用品の設置場所を統一しておくことは、緊急時の円滑な初動対応につながると考えられます。
救急箱の設置については職場の救急箱の中身とは?必要なものと人数別の選び方をご覧ください。
7. 担架がない場合の応急対応(簡易担架の作り方)
事故や災害の現場では、傷病者を安全な場所へ移動させる必要がある一方で、担架が手元にないこともあります。
そのような場合は、毛布や衣類など身近なものを活用して簡易的な担架を作ることができます。ただし、これらはあくまで緊急時の応急対応です。頭部や頸椎、脊椎の損傷が疑われる場合は無理に動かさず、可能な限り救急隊の到着を待ちましょう。
また、搬送する際は複数人で行い、傷病者の状態を確認しながら慎重に移動してください。
7-1. 毛布と棒で作る簡易担架の作り方

毛布と棒があれば、比較的安定した簡易担架を作ることができます。
【使用するもの】
- 丈夫な棒(約2m)×2本
- 毛布×1枚
※棒や布については、破損がないか、また傷病者を乗せるに十分な強度があるか事前に確認しましょう
【作り方】
- 毛布を広げ、端から約3分の1の位置に棒を1本置きます。
- 棒を包み込むように毛布を折り返します。
- 反対側の毛布の端付近にもう1本の棒を置き、その棒を包むように毛布を折り返して完成です。
7-2. 衣類と棒で作る簡易担架の作り方
毛布がない場合は、上着やトレーナーを利用して簡易担架を作ることもできます。
【使用するもの】
- 丈夫な棒×2本
- 上着やトレーナー(複数枚)
【作り方】
- 上着のボタンやファスナーを閉じた状態にします。
- 袖の部分に棒を通します。
- 複数の上着を隙間なく並べていくことで、傷病者を乗せられるスペースを作ります。
7-3. 毛布やシーツのみで搬送する方法

【使用するもの】
- 毛布またはシーツ
【方法】
- 毛布やシーツを広げて床に敷きます。
- 両端を中心に向かって固く巻き、持ち手となる部分を作ります。
- 4人以上で持ち手部分を持って搬送します。
応急担架での搬送時は、傷病者の足側を進行方向にし、担架をできるだけ水平に保って運びます。また、持ち上げる際は腰を落として身体への負担を抑え、長距離を搬送する場合は状況に応じて持ち手を交代します。階段や坂道では、傷病者の頭が高い位置になるように搬送しましょう。
このほかにも、徒手搬送(道具を使わない搬送方法)や椅子を利用した搬送方法があります。搬送方法の詳細については、傷病者の搬送方法|東京消防庁も参考にしてください。
8. まとめ
担架は、事故や災害に傷病者を搬送するのに役立つ備品です。
法的な設置義務はありませんが、学校や工場、スポーツ施設、商業施設などでは、万が一に備えて担架の設置を検討してもよいでしょう。また、緊急時に対応しやすくするためには、用途に合った担架を選ぶだけでなく、持ち出しやすい場所へ設置することも大切です。
設置場所や用途に合わせて適切な担架を選び、いざというときに使用できるよう備えておきましょう。







