歯科医院にAEDは必要?設置義務や導入メリット、選び方を解説
歯科診療では、治療への緊張や不安などから、患者の体調が変化する場合があります。また、高齢の患者や基礎疾患を持つ患者が受診する機会もあるため、診療中のさまざまな事態に備えておくことが大切です。
こうした万が一の事態に備える方法の一つとして、AEDを導入している歯科医院もあります。
本記事では、歯科医院にAEDが必要とされる理由や、導入するメリットについて詳しく解説します。
1. 歯科医院にAEDが必要とされる理由

歯科診療では、患者の体調や治療内容などによって、診療中に予期せぬ体調変化が起こることがあります。そのため、万が一の事態に備える手段の一つとして、AEDの設置が挙げられます。
1-1. 治療中の体調急変に備えるため
歯科治療では、局所麻酔や抜歯、インプラント治療など、患者に身体的・精神的な負担がかかる処置を行うことがあります。治療に対して緊張や不安を感じる場合もあり、痛みや器具の音などによるストレスがきっかけとなって、迷走神経反射(脳貧血)が起こることもあります。
また、高齢の患者や、高血圧、心疾患などの基礎疾患を持つ患者が歯科治療を受けることも想定されます。こうした背景から、歯科診療中の体調急変に備えた対応を検討しておくことも重要です。
もし心停止が発生した場合は、何も処置をしないまま時間が経過すると、1分ごとに生存率は7~10%低下するといわれています。(※1)
119番通報を行うとともに、胸骨圧迫(心肺蘇生)を開始し、AEDをできるだけ早く使用することが救命率向上につながります。(※2)
※1 参考:日本医師会|救急蘇生法
※2 参考:総務省消防庁|令和7年版救急・救助の現況
1-2. アナフィラキシーなどの緊急事態に備えるため
歯科診療では、局所麻酔薬や抗菌薬などの薬剤を使用することがあります。こうした薬剤によって、まれにアナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応が起こることがあります。
アナフィラキシーそのものはAEDで治療することはできませんが、重症化して心停止に至った場合には、心肺蘇生やAEDによる救命処置が必要になることがあります。(※3)
アナフィラキシーについて詳しく知りたい方は、【ポイントは2つ】アナフィラキシーの症状と応急処置をご覧ください。
※3 参考:緊急(アナフィラキシー発症)時の対応|東京都健康安全研究センター
2. 歯科医院にAEDの設置義務はある?

一般の歯科医院にAEDの設置が一律に義務付けられているわけではありません。
一方で、診療報酬上の一部の施設基準では、AEDの設置が要件に含まれています。たとえば、2026年8月時点で歯科外来診療医療安全対策加算1・2(外安全1・2)や口腔管理体制強化加算などでは、AEDをはじめとする救急対応用の機器・器具に関する基準が定められています。(※4、※5)
そのため、診療報酬の施設基準や加算を届け出ている歯科医院では、自院が届け出ている施設基準や算定している加算の要件を確認しておくことが大切です。
※4 参考:特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
※5 参考:基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて|厚生労働省
3. 歯科医院にAEDを導入するメリット

AEDを導入することは、万が一の緊急事態に備えた救急対応体制を整えることにつながります。また、AEDの設置をきっかけに、スタッフが緊急時の対応方法を確認し、院内の医療安全について考える機会にもなります。
3-1. 患者が安心して受診できる環境づくりにつながる
AEDを設置することは、万が一の緊急事態に備えた医療安全対策の一つです。
高齢の方や基礎疾患を持つ方など、患者の状態はさまざまです。AEDの設置をはじめ、緊急時の対応についてあらかじめ検討しておくことも一つの備えとなります。
3-2. 緊急時にスタッフが対応しやすくなる
AEDを設置するだけでなく、日頃からAEDの使用方法や心肺蘇生法を学び、院内で対応手順を共有しておくことも大切です。緊急時の役割分担や対応方法をあらかじめ決めておくことで、万が一の際にもスタッフが落ち着いて行動しやすくなります。
3-3. 医療安全体制の見直しと地域への貢献につながる
AEDの導入をきっかけに、院内の救急対応や医療安全についてスタッフ全員で考える機会にもなるでしょう。
設置場所や運用方法によっては、近隣で心停止が発生した際に、地域の救命活動に役立つ可能性もあります。
4. 歯科医院向けAEDの選び方

歯科医院でAEDを導入する際は、導入後の維持・管理や設置場所、導入方法などを考慮することが大切です。
4-1. 消耗品の交換や維持・管理を考慮する
AEDには、電極パッドやバッテリーなどの消耗品があります。これらには使用期限があるため、定期的な交換が必要です。また、AED本体にも耐用期間(寿命)があるため、導入時には本体の価格だけでなく、長期的な維持・管理についても確認しておきましょう。
メーカーや機種によって、本体の価格や耐用期間、消耗品の交換時期などが異なります。AEDの比較表では各機種の特徴を比較できますので、導入時の参考にしてください。
販売店によっては、将来交換が必要となる消耗品の費用を初期費用に含め、交換時期に合わせて自動で届けてくれるサービスを提供している場合もあります。
厚生労働省も、AEDの設置者に対して、電極パッド・バッテリーなどの消耗品の交換時期を確認し、適切に交換するよう案内しています。(※5)消耗品がセットになったプランを選ぶか、必要な時期に都度購入するかなど、導入後の管理方法も事前に確認しておきましょう。
※6 参考:AEDを点検しましょう!|厚生労働省

4-2. 設置スペースや機器のサイズを確認する
AEDを設置する際は、歯科医院内のどこに置くのか、設置スペースをあらかじめ確認しておきましょう。AEDは緊急時にすぐ使用できることが重要なため、スタッフが迷わず持ち出せる、分かりやすく取り出しやすい場所への設置が適しています。
また、AED本体のサイズだけでなく、収納ボックスを設置する場合は、ボックスを含めたスペースも確認する必要があります。受付周辺やスタッフが集まる場所など、院内の動線を考慮しながら、必要なときにすぐ取り出せる場所を選びましょう。
4-3. リースと一括購入の違いを比較する
AEDの導入方法には、初期費用をまとめて支払って購入する方法のほか、リース契約などを利用して導入する方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、歯科医院の予算や管理方法に合わせて選ぶことが大切です。
一括購入の場合は、導入時にまとまった費用が必要になりますが、総額を抑えることができる場合が多いです。一方、リースの場合は初期費用を抑えることができ、月々の費用として予算を管理しやすい点がメリットです。
歯科医院の運営状況や予算、管理のしやすさを考慮し、自院に合った導入方法を検討しましょう。
AEDコムでも、保証パックプランで販売・リースを行っており、ご相談については大歓迎です。ぜひ、お見積もり、資料請求をいただけたらと思います。
5. AEDは設置後の運用が重要

AEDは設置するだけでは十分ではありません。いざというときに確実に使用できるよう、日頃からAEDの状態を確認し、スタッフが適切に対応できる体制を整えておくことが重要です。
- 定期的にインジケータを確認する
- バッテリーや電極パッドの使用期限を管理する
- スタッフが心肺蘇生法とAEDの使用方法を身につける
- 緊急時を想定したシミュレーションを定期的に行う
AEDの使用方法を知っていても、実際の緊急時には慌ててしまう可能性があります。定期的に訓練やシミュレーションを行い、誰が119番通報をするのか、誰がAEDを取りに行くのかなど、院内での役割分担や対応手順をあらかじめ決めておくことも大切です。
AEDの使用方法の確認に役立つ「AEDの使い方手順ポスター」を無料で配布しています
AEDの使用方法の確認や周知に役立つポスターをPDFで無料配布しています。印刷・掲示・手順のご確認などご活用いただけたらと思います。
6. よくある質問
歯科医院のお客様からよくいただくご質問を、FAQ形式でまとめました。AEDの導入を検討する際の参考にしていただけたらと思います。
一般の歯科医院にAEDの設置義務はありません。ただし、歯科医療に関する診療報酬の施設基準には、医療安全や緊急時の対応体制に関する要件が設けられています。自院が届け出ている施設基準や算定している加算の要件を確認し、必要な設備や対応体制を整えることが大切です。
頻度は高くありませんが、診療中に心停止が発生した場合などには、AEDによる救命処置が必要になることがあります。心停止が疑われる場合は、119番通報や胸骨圧迫(心肺蘇生)とあわせて、できるだけ早くAEDを使用することが重要です。
はい。AEDは医療従事者だけでなく、一般の方でも使用できます。音声ガイダンスに従って操作できるよう設計されているため、緊急時にはAEDの指示に従って使用してください。
AED本体には耐用期間(寿命)があり、電極パッドやバッテリーなどの消耗品にも使用期限があります。メーカーや機種によって交換時期が異なりますので、詳しくは比較表をご覧ください。
7. まとめ
歯科診療では、治療中に患者の体調が変化する場合があります。万が一、心停止などの緊急事態が発生した場合には、119番通報や胸骨圧迫(心肺蘇生)とあわせて、AEDをできるだけ早く使用することが重要です。
一般の歯科医院にAEDの設置が一律に義務付けられているわけではありませんが、AEDは万が一の事態に備えるための方法の一つです。歯科医院で導入を検討する際は、自院の診療内容や患者の状況などを踏まえ、必要性を検討するとよいでしょう。
また、AEDは設置するだけでなく、いつでも使用できる状態を維持し、スタッフが適切に対応できる体制を整えておくことも大切です。設置場所や導入方法、バッテリー・電極パッドなどの消耗品の管理、スタッフ教育、緊急時の対応手順まで含めて、自院に合った運用方法を検討しましょう。





