AEDを設置した後、聞き慣れない音が鳴っていたことはありませんか? 「AEDから音が鳴る」といったお問い合わせ実は多いです。AEDに異常がある場合、アラーム音がなったり、AEDの状態が確認できるインジケーターに異常の表示が出ます。
本記事では、AEDを設置している方向けに、アラーム音が鳴る原因とエラー状態が分かるように動画や画像を交えてまとめています。「この音聞いたかも?」と思った方は、本記事を読んでAEDを確認してみてください。
1. AEDのアラームが鳴る原因
AEDから音が鳴る原因は、AEDの本体、または電極パッドやバッテリーに何かしらの問題がある場合です。この音は、AEDを設置している状態で本体からアラームが鳴ります。実際にどのような音がなのか動画を撮りましたので確認して見てください。
「ピー」というビープ音が聞こえたでしょうか。AEDによって鳴る音は違います。また、音が鳴らずにAEDの状態がわかるランプや、液晶などのインジケーターのみで表示されるAEDもあります。
下の写真がその例です。いずれもエラー時の状態で、インジケーターが赤色に表示されていたり、液晶画面にバツ印が表示されているのが確認できるかと思います。
インジケーターのエラー表示例
2. AEDから音が聞こえたら?
音が聞こえたら、まずはAEDのインジケーターを確認しましょう。下の写真のように、AEDのインジケーター表示がバツ印になっていたり、ランプが赤色になっていたりするはずです。
エラー時の各AEDのインジケーター
インジケーターで異常を確認したら、メーカーのコールセンターに連絡してください。ほとんどのAEDにコールセンターの電話番号が書かれた表示ラベル(カードやタグ)が括り付けてあるか、シールなどで番号の記載があります。
AEDの表示ラベル(タグやカード)
次項でメーカー・機種別のエラーとその対応をまとめていきます。
3. メーカー・機種別の対応
3-1. 日本光電製品のエラー(AED-3100、AED-2100、AED-2150)
日本光電製のAEDに何らかの問題がある場合には、赤色(要確認の状態)を表示します。加えてアラーム音が10秒ごとになります。
下の写真は、AED-3100のインジケーター表示の例です。左側が「使用可」な状態で緑色の表示に、右が「要確認」で赤色の表示となっています。
AED-3100のインジケーター表示の例
日本光電製のAEDは、電源を入れるとエラー内容をガイダンスします。また、フタを開けたところに診断パネルが付いていますので、エラーの内容が分かります。
エラー内容を把握したら、コールセンターに電話しましょう。日本光電のAED専用フリーダイヤルは0120-701-699です。
3-2. CU製品のエラー(NF1200,CU-SP1)
株式会社CU製のAEDに何らかの異常がある場合には、機種により異なります。CU-SP1は、異常がある箇所がインジケーターに表示され、赤いランプが点滅、アラーム音が鳴ります。アラーム音は1分間に1度「ピーッピーッピーッ」と3回続けて鳴ります。アラーム音が鳴るのは、エラーを確認してから30分間だけです。
IPADNF1200は、インジケーターが赤色表示になります。アラーム音は鳴りません。下の写真の左側がIPAD NF1200の正常な状態でインジケーターが緑色表示、右側がエラー状態を示す赤色表示となっています。
IPAD NF1200のインジケーターの表示例
株式会社CU製のAEDに何らかの問題がある場合には、株式会社CUのコールセンターへ連絡しましょう。株式会社CUのAEDコールセンターは0120-910-256です。
3-3. オムロン製品のエラー(HDF-3500)
オムロンヘルスケア製AED HDF-3500の場合は、インジケーターが緑色に点滅しない・赤色に点滅する・ビープ音が鳴るという事象が確認できる場合は、何かしらの異常が発生しています。
オムロンヘルスケア製品のAEDに何らかの問題がある場合には、オムロンヘルスケア製品AEDカスタマーサポートセンターへ連絡しましょう。オムロンヘルスケア製品AEDのカスタマーサポートセンターは、0120-401-066です。
続いてどのようなエラーが出るのか見て行きましょう。
4. エラー別の対応
よくあるエラーの状態と対応をまとめました。
注意事項
以下の動画や音声ガイドは、日本光電製AED-3100及びAED-2150(AED-2100)を元に記載しています。
そのため、AEDの機種によっては、同様のエラー内容であっても、違う音声ガイダンスであったり、エラーのガイダンス自体が流れない場合がありますのでご注意ください。
4-1. 電極パッドの使用期限が過ぎている場合
状態と音声
電極パッドは使用できる期限が決まっています。期限を過ぎた場合にエラーが表示されます。「パッドの使用期限が過ぎています」とガイダンスが流れます。
※撮影は、2018年5月に行っており、2018年2月期限の電極パッドを本体に挿しています。使用機種はAED-3100です。
対応
電極パッドを新しいものに交換してください。交換する場合は、AEDを購入した販売店へ連絡し購入をしましょう。
予備の電極パッドがある場合も、取り付ける前に有効期限を過ぎていないかを確認しましょう。AEDを使用していない限り、本体に接続してあるパッドと、予備パッドは期限が同じ場合が多いためです。
進化している電極パッド
使用期限以外にも、体に貼る部分は粘着性の材質部分が乾燥していないかを確認できるAEDや、コネクタからパッド部分までのケーブルが断線していないかも確認できるAEDがあります。
4-2. バッテリーの残量が少ない場合
状態と音声
これは、エラーというよりも、注意喚起に近いですが、よくあるAEDの状態です。「バッテリが残りわずかです。」と流れます。(※音声はAED-2150の場合)
対応
AEDは、日々のセルフテストなどでバッテリー容量を消費しています。
動画のように残量が見えるものや、インジケーター上で確認できるものもありますが、販売店やコールセンターに相談し、早めに新しいバッテリーに交換しましょう。
バッテリーの待機寿命とは?
AEDにバッテリーとパッドを挿した状態で、電源がONになっていない状態(スタンバイ状態)での寿命のことです。この待機寿命は、設置環境や使用状況で変わりますので、例えば4年間の待機寿命と書いてあった場合も、4年間の寿命を保証するものではありません。
よくあるバッテリーが早くなくなる原因は?
- エラー状態を放置する:アラーム音が鳴るAEDの場合は、バッテリー容量を消費します。
- 有事ではない時に、電源を入れる:過度に心配してちゃんと動くか電源のON/OFFを繰り返す方がいます。
- バッテリーの抜き差しを繰り返す:バッテリーがもったいないので、出勤日だけバッテリーを入れた場合など。バッテリーを入れるとセットアップが始まり、容量を消費します。
- 電源ON状態を続ける:AEDによっては、パッド交換の際に電源がON状態になるものがあります。交換作業は簡単ですが手間取らないように、説明書を確認しながら交換しましょう。
4-3. 条件の温度を超える場合
状態と音声
AEDは使用・待機できる温度が決まっています。ほとんどのAEDが0度~50度(AED-3100:-5度~50度)の範囲が条件です。
この範囲外になった場合にエラーがおきます。寒い状況では、バッテリーの出力低下や、待機寿命の減少、電極パッドが凍って貼れないなどの可能性があり、暑い状況では、本体パーツの故障やパッドの表面が溶けるなどが考えられます。
電源ONした場合の音声としては、「救命に必要な場合はそのまま使用してください。使用後に取扱い説明書にしたがって、点検を実施してください」と流れます。(※AED-3100の場合)
この音声は、条件の温度範囲外で使用された場合以外に、内部時計に異常がある場合や、指定のパッド以外が接続している場合にも聞こえます。
対応
設置場所をAED設置条件(0度~50度)を満たした場所に変えてください。室内であっても、直射日光が当たらない場所や、ヒーターの近くから避ける、凍結が起きるような寒い場所に置かないなどの考慮が必要です。
バッテリーの抜き差しなどで、AEDのセルフテストを行い、結果が正常であれば問題ありませんが、一度コールセンター等に確認するのが良いと思います。
4-4. 訓練用パッドが接続されている場合
状態と音声
AEDの実機に、訓練用のパッドが装着されている状態です。訓練用パッドでは心電図の解析や電気ショックができません。「訓練用パッドが接続されています」と音声が流れます。(※AED-3100の場合)
対応
救命用の電極パッドを接続してください。AEDの種類によって電極パッドの種類は違います。そのAEDに合ったパッドを接続しましょう。
訓練機や訓練用のパッドには、大きく「訓練用」や「Trainer(トレーナー)」と記載されています。訓練用では電気ショックできませんので、実機に訓練用パッドを挿すのは絶対にやめましょう。
訓練は訓練機で行いましょう
AED実機で訓練を行いたいという人がいますが、基本的には出来ません。訓練は専用の訓練機で行いましょう。
実機の場合、電極パッドを貼らないと「パッドを貼って下さい。」以降のガイダンスに進まないため、その後のショックボタンを押す訓練などができません。また、本物の電極パッドを使用した場合は、使い捨てのため再度パッドを購入しなければならない為です。
4-5. バッテリーの廃棄期限が過ぎている場合
状態と音声
バッテリーの待機寿命が過ぎ、廃棄する期限を超過した場合です。「バッテリの廃棄期限が過ぎています。」と流れます。(※AED-3100の場合)
対応
新しいバッテリーと交換してください。
4-6. 故障している場合
状態と音声
故障しているため、救命には使えない状態です。「故障しています。救命には使用できません。胸骨圧迫と人工呼吸を始めてください。」、「故障しています。修理に依頼してください。」と音声ガイダンスが流れます。(※AED-3100の場合)
対応
メーカーのコールセンターに連絡しましょう。
保証期間内であり、所有者の有責ではない場合は、無償で修理または交換などの対応をしてくれます。また、救命時はすぐに胸骨圧迫と人工呼吸を始めてください。
4-7. そのほかのエラー
上記のほかにも、「バッテリの種類が違います。」などもあり、AEDの種類やバージョンによってもエラーの表記の仕方や音声は違います。
ただ、どのAEDもテスト項目や音声文言の違いはあれど、異常があることや故障していることは、インジケーター等で確認できますので、日々の点検を怠らないようにしましょう。厚生労働省からも案内が出ている日常の点検について事項に詳しく記載します。
5. 日常点検をしましょう
AEDには本体の状態が確認できるインジケーターや、消耗品の期限管理が必要です。これらの点検を行うことを日常点検といいます。
厚生労働省からも、AEDの適切な管理の為に、設置者に対しての呼びかけを実施しています。
厚生労働省ホームページ:AEDを点検しましょう!
5-1. 毎日の点検
インジケーターの確認を毎日しましょう。AEDは毎日自動でセルフテストという点検を実施しています。(一部のAEDは1週間に1度)
2. AEDから音が聞こえたら?にも記載しましたが、テストの結果は機種によって違いますが、一目で分かるように丸印であったり、緑色であったり、レ点で表示されています。
インジケーターの確認箇所
異常がある場合は、バツ印や赤色で点滅するなどの表記に変わります。使用不可の場合が多いです。異常がある表記の場合は、AEDの電源を入れることで詳細を音声でアナウンスしたり、要修理のランプが点灯するなど状態がわかるものがあります。
日常点検タグと呼ばれるタグがAEDに付いていますので、点検の方法や消耗品の使用期限を確認しましょう。セルフテストの結果を確認したら、点検表に今日の結果を記載しましょう。直近3ヶ月の結果を保管することが望ましいとされています。
各社の点検表は購入時付いてきますが、基本的に1ヶ月分~3か月分までしか記載できないため、点検表をコピーして使用してください。
各社の日常点検表のダウンロードページ
日本光電 AEDの日常点検方法 AED点検表ダウンロード
https://www.aed-life.com/nihonkohden/dailycheck.html
株式会社CU 日常点検表ダウンロードページ
https://www.japan-cu.com/items
オムロンヘルスケア 点検表のダウンロードページ
https://www.aed.omron.co.jp/support/check.html
5-2.毎月の点検
使用できる状態をしっかりと確認するため、月に1度の定期点検をおすすめしているAEDもあります。これらは、ブザーやランプ、インジケーターやスピーカー、スイッチにいたる各機能が正常に動いているかを確認する点検です。
例としてAED-3100の毎月点検手順を記載します。
- 電源をオンにしてフタを開ける
- ショックボタンを押す
- 成人・小児モードを切り替える
- フタを閉じて電源スイッチをオフにする
上記の項目別に、ピッという音がしたか?、指定の音声が流れたか?、確認ランプが点灯したか?などの細かいチェック項目がありますので、取扱説明書を確認しながら点検を実施してください。
まとめ
今回は、AEDのアラーム音やエラー状態についてまとめてみました。最近AEDのチェックをしていないという方は、これを機に日々の点検をしてみてはいかがでしょうか。
よくあるお問い合わせは、「業務中に聞きなれない音がして、音が鳴る方を探していったらAEDから鳴っていました。」とか、「赤色に光っているんですけど、大丈夫ですか?」と、いった違和感に気付かれた場合です。また、「消耗品の期限が切れていることは、分かっていたんですけど、なかなか忙しくて……。」といったエラーが出ていることはわかっていても、放置してしまう方もいらっしゃいます。
AEDはいざというときに使えないと意味がありません。そのため、消耗品などは期限前に交換をしておいて欲しいことと、少しでもおかしいなと思ったら、販売店やコールセンターに連絡をして欲しいと思います。