電車やバスに乗っているときにAEDのマークに似た、赤いハートと十字のマークを見たことありますか?
これはヘルプマークと呼ばれるものです。今回は、助け合いのしるしヘルプマークについてまとめています。
1. ヘルプマークとは?
「ヘルプマーク」とは、見た目で分からない障害や、援助や配慮を必要としている方が周囲にお知らせできるマークです。
たとえば、杖をついていたら、「足が悪いのかな?」と察することができますが、パッと見ただけでは分からない心臓などの病気や、免疫機能の障害など外見からは分からない障害を持った人がいます。
これら内部障害と呼ばれる身体の内部に障害を持っている方や、お腹が出ていない妊娠初期の妊婦さんなど、健康的に見える場合でも、立っているのがつらかったり、予期せぬことが起きたときに助けが必要であったりします。そんな方たちに周りの人が気づいてあげられるのがヘルプマークです。
1-1. ヘルプマークはいつから?全国にあるの?
ヘルプマークは、東京都の福祉保健局が考案し、運用が始まりました。
2012年の10月から都営大江戸線で配布や標示が開始され、2014年7月からは民間企業への働きかけも実施され、今では41都道府県(※)に広まっており徐々に浸透してきています。
※東京都福祉保健局「ヘルプマーク(企業・事業者向け)webサイト」ヘルプマーク普及状況参照(令和元年9月30日現在)
1-2. どんな見た目?サイズは?材質は?
ヘルプマークは、赤い背景に白い十字と白いハートマークが書かれています。
東京都の場合は、縦 × 横 × 厚 = 約85mm × 約53mm × 約2mm の大きさで、ミラストマー®(三井化学株式会社製)と呼ばれるゴムのような柔軟性をもった材質でできています。
ゴムのような手触りのものが多いと思いますが、自治体によってマークに使われる素材はさまざまで、再利用できる素材で作ったものなどがあります。
2. ヘルプマークはどんな人を対象にしているの?
外見からでは分からない障害を持っていて、援助・配慮を必要としている人が対象です。
また、身体的な機能等に対して特別な基準を設けているわけではなく、必要としている人が申請すれば、特段の書類は必要なく対象としています。
そのため、障害者手帳の有無は関係ありません。基本的には、申し出だけで大丈夫です。ただし、市区町村によっては、事前の書類提出や記入事項がありますので、事前に問い合わせしましょう。
ヘルプマークの対象例
- 身体障害
- 精神障害
- 知的障害
- 内部障害
- 発達障害
- 聴覚障害
- 視覚障害
- 難病
- 妊娠初期
- 人工関節
- 義足
- 疲れやすい
- 立っているのがつらく座りたい
- 吊り革につかまれない
- 同じ姿勢を保つことができない
- 立ち上がる、歩く、座る、階段の昇降が困難
- 突発的な出来事への臨機応変に対応できない
- その他:ヘルプマークが適当とされる方
3. ヘルプマークの使い方は?
ヘルプマークにはストラップが付いています。このストラップを自身のカバンなどに、他人に分かるよう目立つところに付けます。
シールに支援内容を書くこともできます
ヘルプマークには、シールが付属しています。このシールに支援してほしい内容や、何かあったとき連絡先、自分の症状などを記載してヘルプマークの片面に貼ることができます。
4. もしもヘルプマークを付けた人を見かけたら?
主に3つです。
A. 電車やバスなど席を譲りましょう
これが、一番身近な思いやりだと思います。見た目で分からない病気や障害を持っている、あるいは、立っているのがつらい、疲れやすい、同じ姿勢を保つのがつらい人の可能性があります。
優先席付近や、余裕がある人は席を譲ってあげれたらいいですね。
B. 困っていたら声を掛けよう
ヘルプマークを身に着けている方は、突発的な行動や動作が困難な場合があります。「大丈夫ですか?」と声を掛けてあげられるといいですね。
C. 安全避難の手助けをしよう
災害時は安全に避難するための手助けをお願いします。
災害時の基本は、「自助 → 共助 → 公助」です。まずは、自分と家族などの身の安全が優先されますが、「お手伝いしましょうか?」という優しさを持てたらいいですね。
シールに支援内容が書いてある場合もあるので、確認しましょう。
5. ヘルプマークの入手場所は?お金は掛かるの?
お近くの自治体で取得することができます。導入していない都道府県が2020年現在もありますが、基本的には自治体(市役所、区役所、役場)に行き、申し出れば入手できます。
取得に掛かる費用は、無料です。そして、その場でもらえます。マタニティマークと同様に、ご家族が代わりに取得することが可能な自治体も多くみられます。
5-1. ヘルプカードとは?
ヘルプマークとは別に「ヘルプカード」というものがあります。
ヘルプカードとは、コミュニケーションに障害ある人や、助けてほしいこと、困ったことが言えない人などが何かあったときにお願いするためのカードです。
ヘルプマークのシールと同様に、自身の名前や住所、性別、血液型、生年月日といった情報や連絡先、障害や病気の名称、かかりつけの医療機関などが書いてあり、カードの裏面には手助けてしてほしい内容を書く欄があります。
ヘルプカードの例
5-2. ヘルプカードの入手場所は?
ヘルプカードも自治体で入手できます。
そのため、ヘルプマークと一緒にヘルプカードも取得される方が多いと思います。ただし、ヘルプマークと同様に自治体により発行していない場合もありますので確認が必要です。
ヘルプカードは、ヘルプマークと似た利用法ではありますが、別物になります。
6. ヘルプマークは自作して身につけてもいいい
ヘルプマークの話に戻りますが、ヘルプマークは自作しても大丈夫です。ただし、作成・活用のガイドラインがありますので、それに従い作成しましょう。
ガイドラインは、東京福祉保健局のサイトにありますので、こちらをご確認ください。
7. ヘルプマーク取った人に聞いてみた
千葉県流山市の市役所でヘルプマークを取得した人(50代女性)に気になった点を聞いてみました。
入手するときに必要なものって?
特にありませんでした。役所に行き、申請をしたらヘルプカードと一緒にその場でもらえました。
お金って掛かるの?
無料でした。
どんなことを聞かれるの?
特に何も聞かれませんでした。
気づいてもらえますか?
電車内で席を譲ってもらえることが増えました。立っているのがつらいので大変ありがたいです。
周囲の目は気にしますか?
見かけ通りではないことを知ってもらいたいので気になりません。むしろ見ていただいた方がいいと思っています。
何分ぐらいで取得できましたか?
他にも用事があったので、ヘルプマークの取得自体に掛かった時間は明確にできませんが、1時間ほど掛かりました。時期的に少し混んでいましたように思います。
まとめ
他人に声を掛けるのは思っているよりも勇気が必要で、難しいと感じる人が多いと思います。まずは、電車やバスなどでヘルプマークを見かけたとき席を譲ってみるところから始めてみるのはいかがでしょうか。
参考
注意事項
ヘルプマークの取り扱いは、各自治体により内容が異なる、または取り扱いがない場合がございます。とくに、取得を検討されている方は、各自治体にお問合せのうえ詳細をご確認ください。