もし近くで、たおれている人を見かけたら…？
自分にも何かできることがあるかな。
救急車が到着するまでに、私たちにできることが心肺蘇生です。
今回は救命講習の講師も行なっている、AEDガイドの 清水さんに分かりやすく教えてもらうよ。
※ この記事は、ガイドラインを基にした一次救命の流れになります。詳しく知りたい方は『JRC蘇生ガイドライン2020の心肺蘇生手順【一次救命処置】』をご覧ください。
そもそも心肺蘇生って何？
心臓や呼吸が止まった人に対し、胸骨圧迫と人工呼吸 を行うことを、心肺蘇生というよ。
なぜ、心臓や呼吸が止まると心肺蘇生が必要なの？
心臓が止まると、脳や心臓は、数分で大きなダメージを受けるよ。だから、できるだけ早く心肺蘇生を行うことが大切なんだ。
心肺蘇生（一次救命処置）の流れ
1. 安全の確認
まずは、まわりが安全か確認をしてから、たおれている人に近づいてね。
危険な場所なら近づかないで、消防や警察が来るのを待つんだね。
まずは安全確認
まずは自分の身の安全を守るよ。まわりが安全か確認をしてから、たおれている人に近づいてね。
2. 反応を確認する
たおれている人の肩を軽くたたいて、大きな声で呼びかけてみよう。
呼びかけて反応があるか、確認をするんだね。
声をかけて反応を見ます
肩を軽くたたいて、「だいじょうぶですか？」と大声で呼びかけてみよう。
反応や返事がない、反応があるか分からない場合は「反応なし」と判断してね。心臓が止まっている可能性があるから、119番通報をしよう。
反応があり、会話ができるときは、どこが悪いかを聞いて応急手当を行うよ。
3. 大きな声で助けを呼ぶ・119番通報
「反応なし」と分かったら、大きな声で助けを呼ぼう。人が来たら、「119番通報」と「AED」を持ってくるようにお願いしてね。
助けを呼ぶ・119番通報とAEDの手配
「だれか来てください！」と大きな声で助けを呼ぼう。
人が来たら、「119番通報」と「AEDを持ってきてください」とお願いしよう。反応があるか分からない・迷った場合や、人がいなくても119番通報をするよ。
4. 呼吸の確認
たおれている人の胸やお腹の動きを見て、呼吸の確認をするよ。呼吸がない場合は、すぐに心肺蘇生（心臓マッサージ）を始めてね。
10秒以内で呼吸の確認をする
胸やお腹の動きを見て、呼吸の確認をしよう。確認は、10秒以内で行うよ。
胸やお腹が動いていなければ、「呼吸が止まっている」と判断してね。分からない・迷ったときも、すぐに心肺蘇生を始めよう。
ふだんどおりの呼吸（正常な呼吸）をしているときは、観察をしながら救急隊の到着を待ってね。
5. 胸骨圧迫（心臓マッサージ）
たおれている人をあお向けに寝かせて、胸骨圧迫を始めるよ。胸の真ん中に両手をあてて、しっかりと圧迫していこう。
胸骨圧迫（心臓マッサージ）
※ 胸の中央あたりに両手をあてて、ひじをまっすぐのばして圧迫しよう。
ポイント
| 「深さ」 | 胸が約５cmしずむまで、しっかりと圧迫する （こどもの場合は、胸の厚さの約1/3を押す） |
| 「テンポ」 | 1分間に100-120回のテンポ |
| 「解除」 | 圧迫したあとは、胸が元の高さになるようにしっかりと戻す |
| 「休まずに」 | たおれた人が動きだすか、救急隊にかわるまで続ける |
※ 他の人がいるときは、おたがいに確認しながらやるといいよ。ひとりで続けるのは大変だから、交代しながらやろう。
6. 胸骨圧迫と人工呼吸
人工呼吸ができる場合は、胸骨圧迫のあとに人工呼吸を行うよ。
人工呼吸
人工呼吸ができる場合は、胸骨圧迫30回に対して、人工呼吸を2回行おう。気道を確保してから、約1秒かけて胸が上がるくらいの息を吹きこむよ。
ためらう場合や、人工呼吸の練習をしたことがない場合は、人工呼吸を行わずに、胸骨圧迫を続けるよ。
7. AEDの使用
AEDの電源を入れよう
AEDが到着したら、すぐに電源を入れてね。
フタを開けると自動で電源が入るAEDと、電源ボタンを押すAEDがあるんだよね。
電極パッドを貼ろう
右胸と左わき腹に電極パッドを貼りつけるよ。パッドのイラストを参考に貼ってね。
AEDの使用
AEDが到着したら、すぐに電源を入れよう。音声の指示をきいて、電極パッドを貼ってね。
※ たおれた人が未就学児（６さい未満）の場合、AEDは『未就学児用モード』または『未就学児用電極パッド』に変えるよ。
小学生～大人の人にたいして、未就学児用モード・電極パッドは、使わないように気をつけてね。
電気ショックと胸骨圧迫の再開
電極パッドを貼ると、AEDは電気ショックが必要かどうか調べるよ。パッドを貼った人には、触らないようにしてね。
「はなれてください！」と、まわりの人にも呼びかけるといいね。
「電気ショックが必要」と判断されたら、AEDの音声にしたがって『ショックボタン』を押そう。
電気ショックと胸骨圧迫の再開
電極パッドを貼ると、AEDが自動で 電気ショックが必要かどうか調べるよ。パッドを貼っている人には、触らないように、はなれてね。
「電気ショックが必要」と判断されたら、AEDの音声にしたがって、ショックボタンを押そう。電気ショックが終わったら、すぐに心肺蘇生を再開してね。
8. 心肺蘇生を続ける
心肺蘇生は、救急隊の人にかわるまで続けよう。
救急隊にかわるまで 心肺蘇生を続ける
心肺蘇生とAEDでの電気ショックは、救急隊の人にかわるまで続けよう。もし途中から呼吸があり、心肺蘇生を中止しても、AEDの電極パッドは取らないで、電源も入れたままにするよ。救急隊の人から質問されたら状況を伝えよう。（どんな様子だったか、たおれたときを見たか、何回電気ショックしたかなど）
まとめ
ここまで説明した流れをまとめてみたよ。
もし誰かがたおれても、あわてないように手順や、AEDの場所を覚えておこう！
ポイント
- たおれた人ひとを見つけてもすぐ近寄らずに、まわりの安全を確認しよう。
- 反応があるか迷ったときは、「反応なし」と判断しよう。
- 大きな声でなるべく大人を呼ぼう。119番通報とAEDも忘れずに。
- 呼吸があるか迷ったときは、すぐに心肺蘇生を始めよう。
- 胸骨圧迫は、「強く」「早く」「絶え間なく」「しっかり戻す」
- 救急隊にかわるまで、AEDの電源は切らずに、電極パッドも貼ったままにしよう。