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【解説】一次救命処置の手順。心肺蘇生法ガイドライン2015版

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JRC蘇生ガイドライン2015のオンライン版が公表されました。それに伴い、一次救命処置(心肺蘇生とAED)の内容にも変更点があります。

そこで、ガイドライン2010との違いを踏まえながら、反応の確認から胸骨圧迫、人工呼吸、AEDの使用などの一次救命処置の一連の手順について解説しました。

項目毎に変更の有無と、変更点がある場合はその内容をまとめています。

オンライン版の解説です。

当記事は、JRCガイドライン2015オンライン版を基にまとめています。
2016年2月に発刊予定の完全版となる際に修正が入る可能性があるのと、ガイドラインを基に作られる救急蘇生法の指針(市民用)と異なる可能性、また、後々浸透していく救命講習などの講習と異なる可能性があります。

目次

1. 反応(意識)を確認する

倒れている子に声をかけている女性のイラスト

まずは、倒れている人の反応を確認します。周囲の安全を確認してから倒れている人に近づきます。

そして、肩を叩きながら、「大丈夫ですか?」「聞こえますか?」など大きな声でよびかけ、反応があるか確認します。この時、鎖骨の辺りを叩きましょう。

反応を確認するこの手順はJRCガイドライン2010から変更はありません。

2. 助けを呼ぶ・119番通報(口頭指導)

倒れている人(傷病者)に反応がなければ、大きな声で周囲に助けを求めます。

2-1. 119番通報とAEDの手配

119番通報する男性のイラスト

「人が倒れています!誰か来てください。助けてください!」

周囲に人が集まったら「あなたは119番通報をして、救急車を呼んでください」、「あなたはAEDを持ってきてください」と指示を出します。

この時のポイントは、指示を出すときに指をさして、あなたは119番を、あなたはAEDと個別に指名することです。助けたいと思って、近寄ってきていても人がたくさんいる場合、誰に指示が出されているのか伝わらないとなかなか行動しにくいものです。「あなた」と指示されることで、格段に行動しやすくなります。

誰も周りにいない場合は、自分で119番通報しましょう。

助けを呼び、119番通報するこの手順は、JRC蘇生ガイドライン2010から変更はありません。

2-2. 119番通報のポイント。口頭指導を受けましょう

119番通報を受け指示を出す通信指令員のイラスト

119番通報すると、電話口の通信指令員から、呼吸・心停止の判断や胸骨圧迫のやり方などの指導を受けることができます。

救命講習を受けたことがなかったり、心肺蘇生法に自信がない場合は、119番通報して状況を説明した後、通信指令員に相談して指示を仰ぎましょう。

救急時の119番通報のポイント

A. 救急であることをはっきりと伝える

119番通報すると「火事ですか?救急ですか?」と聞かれます。救急の場合は救急である旨を伝えます。

B. 場所をはっきりと伝える

どこで起きたのかをできるだけ正確に伝えます。住所がわからない場合は、目印になるもの(建物、電柱にある番地、店舗名、交差点名など)を伝えます。

C. 何がおきたのかはっきりと伝える

目の前で人が倒れたのか、発見したときにはすでに倒れていたのか、怪我をしているのか、反応があるのかないのか、事故があったのかなど、できるだけ詳細に状況を伝えます。

D. 名前と連絡先を伝える

通報者の名前と連絡先を聞かれるので、伝えましょう。

その後、「どうしたらいいですか?」、「心肺蘇生のやり方を教えて下さい」など相談して指示を仰ぎます。

電話は切らないようにして下さい。携帯電話からであれば、周囲に音が聞こえるスピーカーモードにすることができます。または指令センターからの指示をあなたが大きな声でしゃべり、周囲のバイスタンダー(救急の現場に居合わせた人)に伝える方法もあります。

ガイドライン2015で強調された点:119番通報では、救急車の要請だけではなく、助言や指導を仰ぐことができる。

携帯電話の普及で、電話で心停止の確認や胸骨圧迫などのやり方などの指示・助言を受けることができるようになりました。それをいかして、通信指令員に指示を仰ぐことの大切さが強調されています。

3. 呼吸の確認 分からなければ胸骨圧迫

3-1. 呼吸の確認

倒れた男性の呼吸を確認する女性

傷病者が正常な呼吸をしているか確認します。胸や腹部の動きを見て(上下に動いているか)判断します。胸と腹部が動いていなければ、呼吸が止まっていると判断します。

「死戦期呼吸」という心停止直後によく見られる、しゃくりあげるような呼吸があります。死戦期呼吸では口がぱくぱく動いていることが多いため、別名「あえぎ呼吸」とも呼ばれており、胸骨圧迫が必要な状態です。

 

口の動きを見ると、この死戦期呼吸を正常な呼吸と勘違いしてしまう可能性があるので、胸やお腹で呼吸の確認をします。

3-2. 判断に迷ったら、すぐに胸骨圧迫

呼吸の観察には10秒以上かけないようにします。正常な呼吸かわからない場合など、判断に迷ったら、ただちに胸骨圧迫を開始します。

傷病者が正常な呼吸をしているかどうか判断がつかない場合、3-1.呼吸の確認に記載した死戦期呼吸の可能性もあります。判断がつかない場合や、正常な呼吸をしてないのではないか? と迷った場合は、胸骨圧迫をすぐに始めることが推奨されています。

ガイドライン2015で推奨された点:判断に自信がなくても、ただちに心肺蘇生とAEDを使用する。

JRCガイドライン2015では迷ったら(疑わしきは)胸骨圧迫、とされています。すぐに胸を押しましょう。

4. 胸骨圧迫

胸骨圧迫をする女性のイラスト

傷病者を仰向きに寝かせて、横にひざをつき、胸骨圧迫を行います。

成人への胸骨圧迫は、片方の手の付け根を胸(胸骨の下半分)に置き、もう片方の手を重ねて指を交互に組みます。肘をまっすぐに伸ばし、手の付け根に体重をかけて圧迫します。一回圧迫したら、胸が完全に元の位置に戻るように圧迫を解除します。そしてまた圧迫します。

小児(15歳未満)の場合は、両腕または片腕で圧迫をします。乳児の場合は、二本指(中指と薬指)で圧迫します。

押す深さやリズムなどを下にまとめました。

胸骨圧迫のポイント

A. 押す深さ

胸が約5cm沈むように圧迫し、6cmを超えない。(小児や乳児は、胸の約3分の1の深さ)

B. 押すテンポ

1分間に100回~120回(小児や乳児も同じテンポ)

C. 解除(除圧)

毎回、圧迫したらしっかりと(完全に)胸を元の位置に戻す。ただし、押す深さが浅くならないように注意する。

D. 絶え間なく

AEDを使う際や人工呼吸の際など胸骨圧迫を中断する時間が生じるが、中断は最小限にする(10秒以下)。心肺蘇生を行っている時間の6割は胸骨圧迫の時間となるようにする。

E. 確認しあう

しっかりと押せているか、テンポが遅くなったり早くなったりしていないか確認する。バイスタンダーが複数人いれば、お互いに注意し合い確認する。

F. 交代する

胸骨圧迫は体力を使います。胸骨圧迫の質(深さやリズムなど)を低下させないために、複数人いる場合にはバイスタンダー同士で胸骨圧迫を1~2分ごとに交代しながら行う。

ガイドライン2015で推奨された点:押す深さは5cm ~ 6cm、テンポは100~120回 分、圧迫したら圧を解除、そして中断を最小限に。

心肺蘇生法ガイドライン2010では『押す深さが5cm以上、テンポは1分間に100回以上』でしたが、心肺蘇生法ガイドライン2015では『押す深さは5cm以上で6cmを超えない、テンポは100回~120回/分』に変わりました。

また、胸骨圧迫をしたらその圧を解除すること(胸を完全に元の位置に戻すように、圧迫と圧迫の間で力が入らないようする)、胸骨圧迫の中断を最小限にすることが推奨されています。

5. AEDを使う

AEDノ電源を入れるイラスト

AEDが到着したらAEDを使います。

AEDの使い方は下の流れです。AEDの電源を入れると音声ガイダンスが始まります。このガイダンスに従い使用します。

AEDの使い方のフロー

  1. AEDの電源を入れる:フタを開けると電源が入るタイプ、電源ボタンを押すタイプがある。
  2. 電極パッドを貼り付ける:右胸と左わき腹それぞれに貼り付ける(※未就学児(およそ6歳未満)に対しては、小児用パッド・小児用モードがあればそちらを使い、無い場合などやむを得ない場合は成人用パッドを使用する。その際パッド同士が触れ合わないように、胸と背中に貼るなどしてください。)。
  3. AEDが電気ショックが必要かどうかを判断する:AEDが自動的に心電図を解析して、「心電図を解析しています。触れないで下さい。」と音声ガイダンスを流す。このアナウンスを聞いたら胸骨圧迫を中断して傷病者に触らないように離れる。
  4. 電気ショックのボタンを押す(必要な場合):電気ショックが必要な場合、AEDから「電気ショックが必要です。点滅しているボタンを押して下さい。」などの音声ガイダンスが流れる。それに従い電気ショックボタンを押す。この時、電気ショックが不要であれば、「電気ショックは不要です。」と音声がでる。その場合は直ちに胸骨圧迫を再開する。
  5. すぐに胸骨圧迫を再開する:電気ショックを行った後、または電気ショックが不要とアナウンスされた後はどちらの場合も、すぐに胸骨圧迫を再開する。

AEDを使用する際、一度貼った電極パッドは救急隊が到着するまで剥がさないようにして下さい。電気ショックが不要といわれたり、傷病者が意識を取り戻した場合でも、万が一再度意識を失いAEDを使用することになる可能性があるので救急隊員に引き継ぐまで貼ったままにします。

なお、傷病者が意識を取り戻した場合は、胸骨圧迫は中止します。

AEDを使用する手順はJRCガイドライン2010から変更はありません。

6. 気道確保と人工呼吸

人工呼吸をする女性のイラスト

ガイドライン2015では、人工呼吸は、その意思と技術がある場合には行うことが推奨されています。救命講習などで気道確保と人工呼吸を習った経験があり、実践できるスキルのある人は、30回の胸骨圧迫の後、人工呼吸を2回行います。

意識のない傷病者は体の筋肉が弛緩しているために舌で気道がふさがれている状態になっています。人工呼吸をする前にはまず、気道確保をする必要があります。

気道確保をしたら、人工呼吸は1回1秒とし、空気が漏れないように口を大きく開けて、傷病者の鼻をつまみ、口対口で行います。胸の上がりが確認できるぐらいまで息を吹き込みます。特に小児の心停止においては、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生を行うことが望ましいです。

気道確保と人工呼吸の手順

  1. 額に手をあて、頭を反らす
  2. 顎(あご)の先端を指先(二本の指)で持ち上げる
  3. 鼻をつまむ
  4. 口を大きく開き傷病者の口を覆う
  5. 息を吹き込む
    • 胸が上がるのが見てわかる程度の量
    • 約1秒ほど吹き込む
    • もう1度息を吹き込む(2回)

ガイドライン2015で推奨された点:人工呼吸は訓練された者がその技術と意思があれば行う。

7. 胸骨圧迫(と人工呼吸)とAEDの繰り返しと観察

救急隊員が到着するまで、胸骨圧迫と人工呼吸、そしてAEDの使用を繰り返します。AEDの音声ガイダンスはこの流れの通りになっています。

30:2の割合で胸骨圧迫と人工呼吸を続けます。2分ごとにAEDが心電図を解析しますので、AEDのガイダンスに従い、解析に入ったら離れ、必要があれば電気ショックを行い、すぐに胸骨圧迫を再開します。

ガイドライン2015では、心肺蘇生を行っている時間のうち、最低でも60%を胸骨圧迫にあてることを推奨しています。

心肺蘇生を行っている時間

意識が戻り正常な呼吸に戻った場合や呼びかけに応じるなどのしぐさが出ない限りは心肺蘇生を中断してはいけません。意識が戻った場合は、傷病者を観察しながら救急車を待ちます。訓練を受けている場合は傷病者を回復体位にし、救急車の到着を待ちます。

観察を続けるなかで、正常な呼吸ではないと判断した場合は、再度、心肺蘇生とAEDの使用を行います。

8. ガイドライン2015版、一次救命処置のおさらい

  • 反応を確認する。
  • 応援を呼び、119番通報とAEDの手配をする。
  • 119番では通信指令員に指示を仰ぐ。
  • 呼吸の確認をする。迷ったらすぐに心肺蘇生を開始(胸骨圧迫)。
  • 胸骨圧迫をする。強く(5cm以上を意識、6cm未満)、早く(100~120回/分)、戻して(圧を解除する)、絶え間なく(10秒以上中断しない)
  • AEDを使う。
  • 人工呼吸が出来るのであれば行う(技術と意思があれば)。
  • 胸骨圧迫(人工呼吸)とAEDを繰り返す。

まとめ

JRC蘇生ガイドライン2015のオンライン版を基に一次救命処置の流れをまとめました。筆者が特に強調したいのは、119番通報をした時に通信指令員に指導を受けられる点です。これによって救命率が高まるのではないかと期待しています。

またこの記事は、「今日本で浸透しているガイドライン2010の内容は古いので、早くガイドライン2015の内容を適用するべきだ。」ということを意図するものではありません。救命処置の基となるガイドラインが新しくなったので、変更点が気になっている方のためにまとめさせていただいたものです。少々でも参考になれば幸いです。

ガイドラインの変更点をまとめた記事も併せてご覧下さい。
『【公表】JRC蘇生ガイドライン2015。変更点など6つのポイントまとめ』

参照・引用:一般社団法人日本蘇生協議会JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版第1章 一次救命処置(BLS)JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版‐第1章 一次救命処置(BLS)
※引用元サイトが移転したため、当記事を作成した2015年当時の引用・参考元URLを記載致します。JRC蘇生ガイドライン2015オンライン版‐第1章 一次救命処置(BLS)(http://jrc.umin.ac.jp/pdf/20151016/1_BLS.pdf)


この記事を書いた人

株式会社クオリティー AED事業部 部長 : AEDコム・AEDガイド責任者、AED+心肺蘇生法指導者、高度管理医療機器販売・貸与管理者、防災士、上級救命講習修了。 専門店AEDコムを運営し、日本全国に年間2,000台を販売、導入企業数は7,000社を突破。心肺蘇生ガイドライン、AEDの機器に精通している。

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