あなたは、近くで誰かが倒れたときに、AEDを使って救命できますか?
AEDは、日本で50万台程設置されているといわれていますが、実際にAEDを活用できる人がどれだけいるかというと、非常に少ないのが現実です。市民により目撃された心原性心肺機能停止者数 28,834名のうち、AEDを用いて電気ショックが実施されたのはその中の4.2%(1,229名)というデータもでています*。
*出典:総務省消防庁「令和5年版 救急救助の現況」
使い方は簡単です。いざというときに備えて一度確認しておきましょう。
1.AEDの使い方 手順
AEDの使い方について、手順を順番に説明します。
1-1.AEDの電源を入れる
AEDを使用するには、まずAEDの電源を入れます。電源の入れ方は、「電源ボタンを押すもの」、「蓋をあけるもの」、「レバーを引くもの」など種類があります。ボタンを押すものは、強めに長く押さないと電源が入らない場合もあるので、しっかりボタンを押すようにしてください。電源の入れ方については、AEDの使い方って同じじゃないの!?電源の入れ方3パターン。の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みいただけたらと思います。
AEDは、電源が入ると音声ガイダンスがはじまりますので、ガイダンスに従って操作をしていきます。
筆者注記1:電源を入れるだけ
とにかく電源を入れましょう。電源を入れた後は、AEDが音声で使い方を教えてくれます。基本的に誰でも使えるように文字やイラストで「電源ON」などと書いてあります。「電源を入れ、ガイダンスに従う」ことが大事です。
「小学生〜大人」と「未就学児用」(ガイドライン2015年の「成人用」と「小児用」)の切り替えスイッチがついている機種だと、小学生〜大人モードに設定されているか未就学児用モードに設定されているかのガイダンスがありますので、正しいモードに設定されているかどうかを確認してください。適切でない場合は切り替えスイッチを切り替えます。
※「未就学児用モード・電極パッド」は、ガイドライン2015年の「小児用モード・電極パッド」の名称で設置されているAEDがあります。同様に「小学生〜大人モード・電極パッド」は、ガイドライン2015年の「成人用モード・電極パッド」で設置されているAEDがあります。
日本光電製AEDの場合、AED本体のフタ部分にガイドラインマークが貼ってあります。
例:ガイドラインマークと切り替えモードの名称の違い(日本光電製AED)
ガイドライン2020 | ガイドライン2015 |
---|---|
ガイドライン2020マーク |
ガイドライン2015マーク |
未就学児用・小学生〜大人モード |
小児用・成人用モード |
1-2.傷病者の状態を確認する
AEDの電源を入れる前に傷病者の意識や呼吸の確認をしているケースも多いと思いますが、AEDの機種によっては、電源を入れた後に傷病者の意識と呼吸を確認するよう促します。
確認の際は、傷病者に声をかけたり、肩を叩いたりして反応をみます。とくに、鎖骨のあたりを叩くと刺激が伝わりやすいです。はじめは軽く、それで反応がなければ強めに叩いて反応があるかどうかを確認してください。

呼吸の確認は、お腹が上下に動いているかどうかを見て行います。自身の腹を一度見てみると、よく分かりますが、呼吸がある場合は、腹が上下運動をしています。
また時間も大事です。呼吸の確認は、時間をかけずに10秒以内で判断しましょう。また、呼吸の確認に迷った場合は「呼吸なし」と判断し、胸骨圧迫をしましょう。胸骨圧迫とは心臓マッサージのことです。
医療従事者の場合は、脈があるかどうかを確認する方法もあります。
筆者注記2:呼吸の確認は口元だけで判断しないようにしましょう。
「死戦期呼吸」という症状があります。しゃくりあげるような呼吸のことをさしますが、心停止時に起こるこの呼吸は一見、呼吸をしているように見えます。
死戦期呼吸は口が動くので、パッと見たときに、息をしているようにも見えます。正常な呼吸か、死戦期呼吸か迷った場合には、胸骨圧迫(心臓マッサージ)してください。
1-3.傷病者に電極パッドを貼る
意識・呼吸がない場合は、AEDを使用するために傷病者に電極パッドを貼る流れに入ります。電極パッドを傷病者に貼ると、AEDが心電図を読み取り、電気ショックが必要な心電図かどうかを判断します。
電極パッドを貼るためには、傷病者の衣服を脱がす必要があります。また、傷病者の胸部が汗や雨等で濡れている場合はタオルなどで拭き取って、できるだけ清潔な状態にしてください。
AEDの音声ガイダンス例1
「胸を裸にして、電極パッドの入った袋を取り出してください。」
「袋を破いて、パッドを取り出してください。」
「パッドをシートから剥がして、右胸と左脇腹に貼ってください。」
なお、AEDには、電極パッドがAED本体に接続されているモデル(プリコネクト式)と、AED使用時に接続するモデルがあります。
A. プリコネクト式の場合

プリコネクト式のAEDは電極パッドがAED本体に始めから接続されています。
電極パッドの袋を破り、パッドをシートから剥がして傷病者に貼ります。音声ガイダンスでそのように指示がでるので、指示に従ってください。新しいAEDはプリコネクト式のものが多いです。
B. プリコネクト式ではない場合

プリコネクト式ではないAEDでは、電極パッドの袋を破って電極パッドを取り出し、コネクタをAEDに差し込んで接続した後電極パッドを傷病者に貼ります。この場合も音声ガイダンスでそのように指示がでるので、指示に従ってください。
筆者注記3:電極パッド様式の現状
私は定期的に消防署でAEDの講習を受けていますが、私が行く消防署で使われているAEDはプリコネクト式ではありません。
新しいAEDはプリコネクト式が多いですが、AEDは耐用年数が7年程あることもあり、まだまだ古いタイプのAEDも設置されています。だんだん設置されているAEDもプリコネ式に入れ替わってきており、今後、講習にもプリコネ式が使われるようになっていくとは思いますが、まだプリコネ式ではないAEDも多く設置されており、講習でもプリコネ式ではないAEDを使用している所が多くあるものと思います。
プリコネ式ではないAEDで講習を受けた人がプリコネ式のAEDをみると少々混乱するかもしれませんので、電極パッドが初めからAEDにささっているAEDがあることを知っておいてください。